なぜ美容室では「次回予約」ができないのか? ~歯科医院経営から学ぶリピート率向上の秘訣~
私は美容室経営コンサルタントとして、また歯科医院の経営コンサルタントとしても活動する中で、常々感じてきました。 美容室経営と歯科医院経営は、驚くほど似ている、と。
まず、スタッフ構成が酷似しています。 美容室のオーナーは歯科医院の院長、スタイリストは歯科衛生士、アシスタントは歯科助手、そして受付スタッフがいる。 まるで鏡を見ているようですね。
さらに、ビジネス構造も共通点が多いのです。 どちらの業界も、自分たちで営業周りをすることはなく、お客様・患者様が来店して初めてビジネスがスタートします。 店舗過多による集客難や、スタッフ採用の難しさといった課題も、両業界に共通しています。
加えてどちらも技術職です。 技術の研鑽は重ねていきますが、マネジメントやマーケティングなど技術以外の学びを深めることはほとんどありません。
なぜ歯科医院では「次回予約」が当たり前なのか?
そんな共通点が多い両業界ですが、一つだけ大きく異なる点があります。 それは、「次回予約」の概念です。 歯科医院では、次回の予約を取ることが当たり前に行われています。
しかし、美容業界では次回予約はほとんど実施されておらず、多くのサロンがお客様に来店時期を委ねているのが現状です。 ビジネス構造がほぼ同じなのに、なぜ歯科医院では次回予約ができて、美容室ではできないのでしょうか?
美容師側のマインドセット
その答えは、美容師側のマインドセットにあります。 経営者であるオーナーや、現場の店長と話をしていると、「次回予約がなかなかできないと思ってしまっているんです」という言葉を耳にすることが少なくありません。 そこが大きな問題点なのです。
まず自分たちで「次回予約をできない」とマインドブロックしてしまっていることが、一番大きな原因なのです。 できないと思っているからできない。 これは当然の結果と言えるでしょう。 だからこそ、まずはマインドブロックを解除することが重要なのです。
目的の明確さ
そして、目的が明確であるかどうかも、双方の違いとなって現れていると感じます。 歯科医院の場合、まず最初に「虫歯を治す」という患者様と医院側にとって共通の問題点が認識されます。 そして、虫歯は定期的に来ないと治りませんから、「虫歯を治す」という目的のために定期的に来院することになるのです。
これは、実は美容室の場合も同じなのです。 歯科では「虫歯を治すことによるQOL:クオリティオブライフ=人生の質の向上」が目的です。 美容室では「ヘアスタイルを綺麗にすることで、お客様のライフスタイルを最高の状態にする」ということが目的と言えるのではないでしょうか。
美容室における「次回予約」の必要性
美容院の場合は歯科医院と異なり、施術後にヘアスタイルが整うので一回の施術で完成形になっていると思われがちです。 しかし、髪の内部の状態や頭皮の状態を本当に改善しようと思ったら、一回では完成形になりませんよね。 そして、お客様ご自身でも美意識・ケアの取り組みなどをしていただけるよう、お客様への教育・啓蒙が必要なので、一回で完成形には至らないのです。
だからこそ、お客様に定期的にご来店いただき、お客様のヘアドクター・コンサルタントとなって、一緒に伴走していくことが必要なのです。 そう考えると、歯科医院では虫歯を治すために定期来店していただくように、美容院ではお客様の髪や頭皮の状態をベストに導き、ライフスタイルの向上をしていくためにも、次回予約は必須になってくるのです。
自信を持って「次回予約」を提案する
あとはサロンワークの中で次回予約の話をしましょう! 自信を持ってお伝えすれば大丈夫です。 逆にプロである美容師側が、お客様の次回予約を取らないのはプロとしての責任を果たしていないと同じです。 お客様の人生を豊かで幸せにするためにも、まずは次回予約をしていきましょう。
大切なこと。 それは目的を考えること。 目的は次回予約を取ることではなく、お客様の豊かな人生を生み出すためのお手伝いをすること。 次回予約はそのための手段です。 「手段を目的化しない」ことを忘れずに。 全てはお客様の豊かで幸せな人生のためです。 そうすると自ずとリピート率は向上します。
最後に
今回は、「次回予約」というテーマでお話しましたが、これはあくまでリピート率向上施策の一つに過ぎません。 しかし、この「次回予約」に対する考え方一つで、美容室経営は大きく変わ理ます。 ぜひ、この記事を参考に、あなたのサロンでも「次回予約」を導入してみてはいかがでしょうか。 そして、お客様と共に、より豊で美しい幸せな未来を歩んでいきましょう。