30年成長する企業のメカニズム。美容室戦国時代を生き残るヒントを学ぶ
「30年成長する企業には、メカニズムがある」
この言葉はマイクロソフトの創業者である、ビル・ゲイツ氏の言葉です。 彼の主張を端的にまとめると以下のようなものだと言えます。
「ベンチャー企業が成長するのは当たり前である。 極論を言えば、すぐれた仕組が無くても、組織のリーダーの俗人的な頑張りである程度のところまでは何とか出来てしまう。 しかし、30年やそれ以上に渡って成長する企業には、その成長を支える優れた仕組やメカニズムが存在する」
この仕組みは、組織構造や人事システム、組織文化や風土、人財育成カリキュラムやマニュアルなどです。 そしてこれらの根本となる経営理念や経営者の経営哲学も含まれます。 更にはリスクマネジメントや管理会計、販促戦略なども同様です。
リクルートの事例
例えば、私も過去に在籍していたリクルートを例に出してみましょう。 リクルートは1960年創業の会社ですが、1988年に起きたリクルート事件で創業者の江副浩正氏が退任した後も、かつて以上に事業を拡大。今では「人財輩出企業」として優秀な人財を世に送り続けています。
そしてついには上場し、日本を代表する大企業として業界の先頭を走っているのです。
その背景には、リクルート独自の組織文化や組織運営の仕組みがあります。 そしてそのキーワードはチャレンジ精神と自己成長意欲を基に、「まだここにない未来」を生み出そうという組織風土があります。
リクルートの文化
リクルートでは、新しいことに積極的にチャレンジすることをよしとされ、それを会社が後押しする「新規事業公募制度」もあります。 また結果を出すと、業界にインパクトを与えたミッションを全社から表彰する「トップガンアワード」というものもあります。
営業成績は厳しく見られますが、常に「できない理由を探すのではなく、できる方法を考える」という精神のもと、新しい価値を生み出しているのです。
リクルートには暗黙の了解として存在する、「38歳定年説」というものがあります。 これは40歳近くになるとリクルートを卒業する(リクルートでは退職ではなく、卒業と表現します)していく組織風土によるものです。もちろん、40歳近くになったら、必ず転職しなくてはいけない訳ではありません。40歳過ぎてもバリバリと活躍されている方もいらっしゃいます。
また3年契約の契約社員制度もあり、常に新しい人財を入れることにより、組織の活性化を図っています。 これによって常に組織は新陳代謝が起こり、成長パワーのある企業となりえるのです。(私はリクルートで2年半美容室の営業職に従事し、学びえたノウハウをもとに起業しています)
そして、(私もそうですが)卒業したOB・OGが起業し、ビジネスパートナーとなることで、新ビジネスが創出されていくという独特のビジネスモデルさえも確立されているのです。ちなみにリクルートでは、長い歴史の中で、定年退職をした方は数人しかいない、という話を聞いたことがあります。
企業文化と成長の仕組み
こうした仕組みは、長年の土台となるコアな要素と、時代の変化に合わせてフレキシブルに進化する要素をバランスよく持ち合わせているからこそ成り立つのです。
リクルートを例にして言うならば、長年の土台となるコアな要素は創業者の意志を反映した経営理念であり、時代の変化に合わせてフレキシブルに進化する要素は、その時々の経営戦略と言えるでしょう。 これらの絶妙なバランスが、組織の継続的な成長を支えるメカニズムとなっているのです。
美容サロン経営においても同様です。 組織の土台となる経営理念をしっかりと持ち、美容室戦国時代を生き抜くためのフレキシブルで積極的な経営戦略を実行していくことが重要なのです。